ご無沙汰しております。編集部チョメ太郎です。
「オトメイトラボラトリーVOL.2」の作業が無事に終わりましたっ!
VOL.1が去年の10月ですから、約8か月後の2巻です。
今回は、悌太先生にカバーを描き下ろしていただいた「十三支演義」をはじめ、
「猛獣使いと王子様 Snow Bride」「蒼黒の楔FD」のキャラクターが登場します。
総ページ数も前回の114ページから大幅に増え、今回は「142ページ」です。
VOL.2には、原作のシナリオを手掛けた山崎浅吏先生によるショートストーリー
──「猛獣使いと王子様 Happy Bride」を収録しています。
各キャラクターごとに、ゲームエンディング後を書き下ろした内容で、
折角なので、マティアス編のさわりをご紹介しましょう。
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Happy BrideMATHEUS 〜マティアス〜「ティアナ、少し外へ出よう。いつまでも来客の相手をしていたら倒れてしまうぞ」
「あっ、マティアス……!」
「それでは、少々失礼する。皆でゆっくり歓談してくれ」
「お待ちください、マティアス陛下……!」
俺は強引にティアナの手を取って大広間を抜け出す。
引き止めようとする声が次々と背に浴びせられたが、それを無視して中庭まで駆け抜けた。
「よし、さすがにここまで追ってくる者はいないだろう」
「もう、マティアス。せっかく私たちのために集まってくれた人たちを放っておくなんて」
「あんなものに最後まで付き合っていたら切りがない。どうせほとんどはただの社交辞令だ。ファザーンの王と王妃に顔を売りたい人間なら腐るほどいるからな」
ティアナは申し訳なさそうに広間の方を振り返ったが、疲れているのは俺と同じようで小さくため息をついた。
「できることなら部屋へ戻って、お前と2人きりで過ごしたいんだが……」
肩を抱き寄せて耳元で囁くと、ティアナは恥ずかしそうに目を反らす。
「そ、そうよね。今日は大事な……」
「大事な、なんだ?」
オレは途中で口ごもったティアナに、その先を促した。
すると彼女はしばらく迷った末に、消え入りそうな声で呟く。
「初夜、だし……」
「ん? なんだ? よく聞こえなかったが」
「もう、マティアス! 恥ずかしいことを、そんなに何度も言わせ──」
顔を真っ赤にしそう叫ぶティアナの唇を強引に塞ぎ、柔らかく押し返してくる感覚をたっぷりと味わう。
「お前の言うとおり、今日は大事な初夜だ。いつどんな時でも身体を重ねることはできるが、初夜は一生に一度のことだからな」
「わ、わかったから、そんなに大きな声で何度も言わないで、マティアス」
抱きしめた腕の中で恥じらう彼女の仕草や声が、愛しくてたまらない。
意地の悪いことを言ってからかうつもりが、いつの間にか自分の方が溺れてしまっている。
(こんな調子では、数年後には尻に敷かれているかもしれないな……)
つくづく自分は彼女に弱いのだと実感し、俺はやれやれと天を仰いだ。
「ねぇマティアス。そろそろ戻った方が……」
「いや、戻る必要はない。宴を切り上げて、部屋へ帰ろう」
「ええ!? 本当に……?」
「この程度のキスではとても足りない。もっとお前に触れて……お前を愛したい」
「マティアス……」
耳元でそう囁くと、ティアナは潤んだ瞳で小さく頷く。
「うん……わかった。私も、そうしたい」
「では決まり、だな」
再び彼女の手を取って歩き出そうとした、その時──。
〈以下続く〉
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甘い、甘すぎる!と感じるたのは私だけでしょうか。
気になった方は、是非ご一読くださいませ。
それでは失礼します。